もしかしたら自分(またはあの人)は発達障害かもしれないと訴えられる方がいらっしゃいます。

軽度な場合は判断もつきにくく、かつてはそそっかしい、落ち着きがない、変わったところがあるなどと片付けられ見過ごされがちでした。発達障害であると知らずに育ち、他の人と同じようにできない自分を情けなく感じ、劣等感を抱いたり、突然他人から嫌われるのではないかと不安だったりと傷ついたり、必要以上に自信を失くしていたりする方も多いように思います。

最近は、テレビや新聞などで発達障害について取り上げられるようになり、かなり認知され、理解されるようになってきたように思います。

発達障害かどうかについては専門機関で診断してもらうことができます。
「自分が発達障害だとわかって、今まで人と同じようにできない自分を責めていたけど、自分がダメなのじゃない、障害のせいなんだと気持ちがらくになった」、「発達障害かもしれないけど、発達障害だとわかったらそれを受け入れられるか不安だ」などさまざまなご意見があります。
もし前者が発達障害でなく、後者が発達障害だったらと考えると診断の是非については非常にデリケートなものがあります。発達障害なのか知ることよりも、そのことがその人にとってどんな意味があるのかが重要であり、できることなら大人の場合は本人がその辺りを検討してから、診断されるかどうかを決められることをお勧めします。

また、精神的な不調のために受診したところ、思いがけず発達障害と診断され、「うまくいかないのは自分のせいなのか」、「自分がおかしいのか」など不安になり、なにができていて、なにができていないのか、正常な反応なのか発達障害なのか混乱し、自分の判断に自信を失い、今までできていたことでも疑心暗鬼に陥る方もいらっしゃいます。

発達障害と知ることでできない自分は悪くないと思えるかも知れませんが、現実に直面している生きづらさは変わりありません。逆に、発達障害でなかったとしてもできない自分は悪くありません。
人はうまくできることもあれば、うまくできないこともあるのが自然ですし、他人と比べればキリがありません。
感じ方にしても多数派、少数派の違いはあるにしても間違った感じ方はありません。

いずれにせよ現時点でうまくいっていない現実を受け止め、どうしていくかが重要です。
くり返し失敗するような行動があれば、同じ悩みを抱えている人の意見や専門家のアドバイスを参考にしたり、周囲の人々を観察したりして対処の工夫をしてみましょう。

発達障害なのか、性格なのか、まずは今の自分をありのまま受け止めることから始まるように思います。
2006年04月04日